たった1人で演劇創りを始める方法

劇団に所属せず、周りに仲間もいない状態から、自分だけの演劇作品を上演するまで

キャスト(出演者)を集める その1

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皆さんこんにちは。劇作家(脚本家)・演出家の息吹肇です。

2月に入りました。このブログも足掛け4ヶ月目になります。遅々として進んでいないようにも見えますが、気が付けば少しずつでも実際の上演に近付いてきました。

今回は、キャストを集める方法について書いていきます。といっても、僕のやり方はごくごくシンプルなものなので、何か特別な「技」があるわけではありません。

大きく分けて、

 

・一本釣り方式

・オーディション

・コネクション

 

上記の3つになります。

順番に説明していきましょう。

 

 

一本釣り方式

①公演チラシを活用する

小劇場の芝居を見に行って、「あの人よかった!」と思える役者さんが、1公演に1人はいると思います(もしいなければ、残念ながらその芝居は、あなたにとっては「ハズレ」です)。その人に声をかけるわけです。

僕はそういう時のために、パンフレットが販売されていたら、必ず買うようにしています。パンフの販売がなければ、簡単な出演者・スタッフ紹介のA4二つ折り位の紙が大体は用意されていますので、それを持ち帰ります。パンフがあれば、演者の名前と顔が一致しますので、まずは気になる人をググってみましょう。大抵、何らかのSNSをやっていますので、例えばツイッターのDMで声をかけます。もしその役者が事務所に所属していても、「お仕事の依頼はこちらから」とメールアドレスを載せている場合が多く、それがない場合でも、事務所のサイトにお問い合わせフォームが必ずあります。そこにオファーのメールを送ります。

 

SNSで見つける

上記と重なりますが、ツイッターやインスタで気になる役者をフォローし、どんな芝居(や映像)に出演しているかを投稿の内容から推測します。自分の求めている役者に少しでも近いと思ったら、迷わず連絡をとってみて下さい。その際、ツイッターであればフォロワー数もチェックしておきましょう。フォロワーが2桁、または3桁でも300以下なら、動員力はあまりないと思って間違いありません。動員はさておき、どうしてもその人に出てもらいたいと思えば、DM等で声をかけてみてもいいでしょう。

時々、ブログはやっているけれど、ツイッターやインスタといったSNSはやっていない役者がいます。そういう人には、なかなか連絡がとりにくいものです。しかし、それは役者側の考え方なので、深追いする必要はありません。

 

③事務所のサイトから見つける

先にも書いたように、事務所に所属する役者は、直接連絡をとることがNGである場合が結構あります。そうなると、事務所経由でオファーするしかありません。その時、お目当ての役者だけではなく、事務所の所属タレント紹介のページを一通り見てみましょう。さらに魅力的な役者が登録されていることがあります。事務所のページには、出演履歴等も載っていますので、それを参考にして、複数の人にオファーするのもありです。AさんはダメでもBさんはOKといったこともよくあります。

 

④メールは誠意を持って、堂々と

初めて直接連絡をとる相手ですから、最初は緊張するかも知れませんが、相手はそういうことには慣れていて、かつ基本的には仕事を待っている身だと思えば、少しは気が楽になるでしょう。過剰に卑屈になる必要はありません。

かといって、強気に出られる立場でもないので、「他の誰でもなく、あなたにこの作品に是非出演して欲しい!」という気持ちが伝わるようにオファーの文章を書きましょう。

メールを送ってから、かなり経った頃に返信が来ることもしばしばです。スルーされてしまう場合も多いですが、根気よく待ってみて下さい。

 

⑤伝えるべきこと

先方がまず確認したいのは、スケジュールです。稽古期間や上演日時、場所を伝えます。そして、スケジュールがOKだったら、企画書と脚本を送って出演を検討してもらいます。

次に相手が重要視するのは、出演条件です。チケットノルマがあるのかないのか、チケットバックなのか、ステージギャラ方式なのか。具体的にはどんなシステムなのか。これはしっかり決めておいていて下さい。なお、出演者ごとに条件を変えるのもありです。

そして、最後に相手が知りたがるのは、自分(もしくは事務所所属の役者)の役どころです。「番手」といって、その人が出演者全体の中でどの位の位置にいるのかを示す指標があるのですが、役者も事務所も非常にこれを気にします。比較的有名な事務所の役者は、この番手が上の方でないと引き受けてくれません。また、そういう人をあまりにも低い番手にキャスティングするのは、失礼に当たります。オファーする時までに、どの人をどの役にしたいのか、仮でもいいのでキャスティングを考えておいて下さい。

 

⑥どのレベルの役者までオファーが可能か?

あなたが生まれて初めて演劇公演を主催するのであれば、誰でも知っているような芸能人・俳優が所属するような芸能事務所にオファーをしても、まずスルーされると思って下さい。まだどこの誰かも全く知られていないような人間のために、十分に有名で仕事も詰まっている俳優・タレントのスケジュールを割く意味はないと判断されるからです。また、よしんばスケジュールが大丈夫だったとしても、その俳優の高額なギャラの支払い能力があなたにあるとは見なされないでしょう。

ですから、初めは有名な事務所へのオファーは避け、SNSに連絡先を載せている役者にターゲットを絞ってみて下さい。

 

☆息吹の場合

僕は、Evernoteで公演毎にノートを作り、作品名・劇場名・公演日程、大体のスケジュールとともに、気になった役者、出て欲しいと思っている役者を、出演者候補として入力しておきます。キャストだけではなく、スタッフさんの候補も入れておくとよいでしょう。交渉結果を「OK」「NG」で入れておくと、次からの参考資料にもなります。

 

 

如何でしたか。

今はSNSがあるお陰で、だいぶ一本釣り=直接オファーがしやすくなりました。勿論、受ける、受けないは先方の役者次第です。特に条件面や、どんな役を想定しているかについて質問がくることが多いので、その時点で決まっているところまででもいいので、答えられるようにして下さい。

まったく無視されてしまうこともあるかと思いますが、その場合は、単に縁がなかったということです。気持ちを切り替えて、別の役者へのオファーに力を注いで下さい。

だめかなと思っても、作品の内容に興味を持ってくれて、何とかスケジュールを調整してもらえることもあります。「ダメ元」でいろいろな役者に当たってみましょう。

 

 

次回は、オーディションを行う場合について書きたいと思います。

次回も是非お読み下さい。

 

 

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(写真 宮本よしひさ)