たった1人で演劇創りを始める方法

劇団に所属せず、周りに仲間もいない状態から、自分だけの演劇作品を上演するまで

キャスト(出演者)とスタッフを集める その3

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皆さんこんにちは。劇作家・演出家の息吹肇です。

たった1人で演劇を創るために、その舞台を彩ってくれる役者さんを探す方法の、今回は3回目です。

おさらいですが、出演者(役者)を探す方法には、大きく分けて3つありました。

 

・一本釣り方式

・オーディション

・コネクション

 

前回は、オーディションのやり方をざっとご紹介しました。

今回は、最後の「コネクション」、平たくいえば「コネ」についてです。

コネには、いくつかのルートがあります。

 

①演劇関係者(役者)のコネ

あなたが役者なり脚本家なり演出家なりで、既に演劇人として活動している人であれば、演劇関係者に知り合いや友人が1人や2人はいると思います。当然、出演等何らかの協力をお願いしていると思いますが、その人から知り合いの役者を紹介してもらうのです。オーディションで採った役者に聞くのもありです。また、誰かにオファーして断られてしまった場合でも、「代わりに誰かいい人いない?」と聞いてみましょう。候補がいたら教えてくれるはずです。

実際にその人の演技を見たことがなくても、写真やSNS等最低限の情報が得られるでしょう。良さそうだと思ったら、前にご紹介した「一本釣り」の手法でアタックしてみましょう。その時に、例えば「役者の○○さんから紹介されました」と一言添えると、相手も安心して話を聞いてくれます。

 

②業界関係者のコネ

例えば誰かのツテでインターネットTVやYouTubeの番組に出演することができたりした場合、その局のプロデューサーさんが、業界に顔がきく場合があります。また、役者・タレントの紹介を業務の一つにしている局もあります。そういう時は、名刺を交換して、役者の紹介をお願いしてみましょう。業務の場合は当然マージンを取られますが、普通に繋いでくれる場合もあります。

勿論、一緒に出演した人やMCの人が役者なら、その場でオファーするのもありです(すぐにはお返事はもらえないと思いますが)。「事務所を通して下さい」と言われたら、事務所に連絡してみましょう。

 

③スタッフさんのコネ

スタッフさんが、前に入った現場で仲良くなった役者を紹介してくれることもあります。また、芸能事務所の仕事を引き受けていた関係で、事務所の人と繋がりができているスタッフさんもいて、その方が事務所と繋いでくれる場合もあります。

僕は以前、元AKB48の女優さんに僕の作品に出演していただいたことがあるのですが、彼女の事務所と繋がることができたのは、間にその事務所の仕事をしたことがあるスタッフさんがいてくださったおかげです。

 

 

スタッフさんを探す

これまでは、主に出演者(役者)の探し方を書いてきました。

スタッフさんを1から探す場合も、ほぼ手順は同じです。

見に行った芝居のチラシのスタッフ一覧を見て名前をチェックしたり、ググったりして、SNS等で探して連絡をとる(一本釣り方式)か、役者またはスタッフさんに、知っているスタッフさんを紹介してもらう(コネクション)といった方法が考えられます。

(さすがにスタッフさんのオーディションというものはありません。)

スタッフさんのデータベースのようなものがあるといいのですが、あるようでなかなかないのです。ただ、何人かのスタッフさんが集まって、会社や集団の形で活動している人達もいますので、その団体にオファーすれば、AさんはダメでもBさんはOKといったことはあります。

 

☆スタッフさんの知り合いは多いほどよい

役者との繋がりも大切ですが、芝居は支えて下さるスタッフさんがいなければ創ることはできませんので、できるだけいろいろなスタッフさんと繋がりましょう。

舞台監督・照明・音響…etc.それぞれのセクションにつき、最低2人は繋がりを持っておくと、1人に断られても、すぐにもう1人に連絡をして頼むことができます。

また、経験値の高いスタッフさんであれば、全く違った毛色の舞台にも対応して下さいますので、極端な話、見に行った芝居と真逆のテイストの芝居を創ろうと思っている時でも、そこのスタッフさんに声をかけてみる価値はあります。そうやって、できるだけ関係を広げていく努力をしましょう。

 

 

声をかけるタイミング

役者にしろスタッフさんにしろ、どのタイミングでオファーをしたり、オーディションを行ったりすればいいのでしょうか。

早ければ早いに越したことはありません。ただ、あまりに早過ぎると、特に事務所系の役者の場合は、「その時期のスケジュールはまだ決められない」と言われてしまうことがあります。ただ、あまりに本番や稽古開始日に接近し過ぎると、既に別の案件のスケジュールが入っていることもしばしばです。

経験的にいえば、本番の6〜8ヶ月前位を目安に、声をかけ始めるのがいいと思います。小劇場とはいえ、人気がある人はこれでも遅い位ですが、逆に1年以上前だと、それこそその時期に自分が何をしているか分からないということで、簡単にはOKはもらえません。

スタッフさんの場合は、かなり先でも予定を入れていただけることが殆どです。早め早めに声をかけることを心がけて下さい。

 

 

如何でしたでしょうか。

本当に初めて演劇界に飛び込み、初めて芝居を創ろうとしている人の場合、コネクションはなきに等しいので、ここに書いた方法はなかなか難しいかも知れません。ただ、出演者でもスタッフさんでも、1人でも決まれば、その人のコネを使うことは可能です。一本釣りで厳しい場合は、どんな弱い繋がりでも、コネを有効に使って下さい。

 

次回は、稽古開始までにやるべきことをお伝えする予定です。

次回も是非お読み下さい。

 

 

※団体、ユニットの立ち上げ等の個別のご相談もお受けしております。ご希望の方は、コメントでお知らせ下さい。

 

(写真 松本和幸