たった1人で演劇創りを始める方法

劇団に所属せず、周りに仲間もいない状態から、自分だけの演劇作品を上演するまで

名前を決め、公式サイトを立ち上げる

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皆さんこんにちは。劇作家・演出家の息吹肇です。

前回までで、大まかなお金の話は終わりました。それを踏まえた上で、今度は外に発信していく話に移りたいと思います。

前回の終わりに、次回は企画書の書き方について書くとお知らせしました。

しかし、その前にやらなければならない大切なことがいくつかありましたので、今回はそれについてお伝えしようと思います。焦らしているようですみません(笑)

 

 

ユニット名を決める

一番肝心なことを書いていませんでした。これから芝居の公演を行うという時、その主体の名前を決めておかなくてはなりません。

これは、ある意味趣味の領域です。ただ、第三者に最初に出す名詞のようなものですので、それなりの意味や戦略を込めるべきでしょう。会社を立ち上げる時に、企業名を決めるのと同じです。

どんな劇団名、ユニット名があるか、予め調べておきましょう。

 

①印象に残りやすいか

第一印象は非常に大切です。一度聞いただけで耳に残る言葉がいいと思います。「音」も大切ですが、簡単な言葉を用いていながら、聞いた瞬間に「何だろう?」と思わせるようなものですとベストです。「夢の遊民社」「第三舞台」「ナイロン100℃」「阿佐ヶ谷スパイダース」「鹿殺し」「二兎社」「時間制作」「天然ポリエステル」「六番シード」等々、簡単な単語の意外な組み合わせが、人間の脳には強く印象に残ります。

 

②上演する作品の色や方向性を体現しているか

例えば、あなたが演劇で有名になった時、真っ先に聞かれるのはユニット名の由来です。例え音だけで決めたのだとしても、後付けでもいいので理由を説明できるようにした方がいいでしょう。

例えば、「第三舞台」は、

 

まず第一舞台がありまして、それはスタッフとキャストが力を合わせた舞台のこと。第二舞台は観客席。第三舞台は、第一と第二の舞台が共有する幻の舞台。劇団の自己満足に終わらず、お客さんが付き合いで来ているだけでもない、最上の形で共有する舞台

 

上記のような意味で名付けたと、主宰の鴻上尚史氏は旗揚げの時に語っていました。

「なるほど!」と納得しますよね。非常にセンスのいいネーミングだと思いました。この劇団がかなり長い年月にわたって存続できたのは、勿論作品の素晴らしさもあったのですが、この名前の力もあるのではないかと、個人的には思っています。

 

③検索しやすい言葉か

①とも通じるのですが、何でもググるのが普通の現代にあっては、簡単に検索ワードとして入力できる言葉かどうかも、非常に大切になってきます。いきおい、短めの言葉が有利になります。ちなみに、上記のうち「夢の遊民社」の旗揚げ時の正式名称は、「面白くてためになる劇団夢の遊民社」だったそうです。Googleのグの字もない時代ならではの遊び心ですね。

ただ、検索を重視すると、他の団体名とかぶったり、非常に似通った名前になったりする可能性も出てきます。オリジナルだと思っていたものが、既に存在する団体の名前だったりすることもあります。予めよく調べておきましょう。

 

☆「Favorite Banana Indians」の場合

僕の演劇ユニットの名前は、「Favorite Banana Indians」です。1998年に創立しました。この時は、まだGoogleのグの字もない頃で、まだ検索の重要性など頭に全くなくて当然の頃でした。

正直に言って、この名前は音のみで決めたものです。当時いたメンバーと3人で、

 

・英語であること

・略称が、誰でも知っているようなものになること

 

この2つを元に考えた結果が、「Favorite Banana Indians」(略称「FBI」)でした。まだ作品の方向性も何も決まっていない状態で付けたので、こんな冗談のような名称にしてしまったのです。そして、後からこの名称の由来を考えました。以前はサイトに載せていたのですが、内容を見直した時に消してしまいました。また復活させてもいいのかなとも思います。

当初はググってもまったく出てきませんでしたので、名称の変更も考えましたが、代わりの名称も思い付かずに、ここまできてしまいました。活動開始からだいぶ経ったことと、ここ数年は公演のペースも上がってきたことから、今では正式名称を入力すれば、ちゃんと情報が出てくるようになりました。(ただ、正しく入力すること自体が大変ですが。)

 

 

公式サイトを作成する

名刺代わりに、自分のユニットの公式サイトを作成し、公開することも大切です。まだ活動の実績が何もない状態であれば、最低限下記のものは掲載しておきましょう。

 

・ユニット名

・ユニットの説明(活動の方向性等)

・代表者紹介

・次回公演予定(決まっていなければ、見込みでも可)

・連絡先

 

今は無料でWebを作成できるサービスがいくつかありますので、それを使用するのが手っ取り早いと思います。

お金に余裕があって、それでは物足りないと思う人は、デザイナーさんにお願いしてみましょう。Lancersやcoconalaといったスキルシェアサイトで探すか、見に行った芝居のチラシで気に入ったものがあれば、そこに書かれている「宣伝美術」さんに、SNS等で直接連絡をとってみてもいいかも知れません。

また、その場合は、同時にユニットのロゴを作成してもらいましょう。追加料金がかかりますが、小さなロゴならそれ程大きな金額にはなりません。

活動を継続していけば、載せる情報も増えます。謂わばポートフォリオとして活用できるのです。更新作業を自分でするか、デザイナーさんにサイトの運用も任せるかで、かかるお金も変わってきますので、よく検討してみて下さい。

ユニットの公式サイトは、ユニットの「顔」になります。大金を投じる必要はありませんが、後々を考えて、あまりケチらない方がいいと思います。

 

 

名刺を作成する

紙の名刺も作成しておきましょう。最初は100枚もあれば足ります。自分でテンプレに手を加えて作れるサイトもありますし、上記のデザイナーさんに一緒に頼んでも構いません。ロゴが入れば、だいぶそれらしく見えるものです。

初対面のスタッフさんや役者さんと名刺交換をしておけば、活動を継続していく上での財産になります。普通の社会人と同じで、名刺は必須アイテムと考えて下さい。

 

 

如何でしたでしょうか。

企画書の前にこれらをやっておく必要があるのは、企画書には当然ユニットの名前が載り、サイトのURLも載せます。ロゴがあると様になります。ですので、外に向かうための下準備として、現在の自分を表現するものを持っておくことが重要です。

これらを踏まえて、企画書を作っていきましょう。

次回も、どうぞお読み下さい。

 

 

※団体・ユニットの立ち上げ等の個別のご相談もお受けしております。ご希望の方は、コメントでその旨お知らせ下さい。